eyehome
banner01

calendarcalendarhalltoolonthenetcolumn
コラムトップ

上田假奈代 / Profile AB型 URL:www.kanayo-net.com
1969年12月1日奈良県吉野生まれ。闘う天才料理詩人・救わない巫女。ドコモ関西メールマガジン「Wow DoCoMo Now!」も執筆中!
詩作歴は3歳。・知る人が知る上田假奈代が語りかけるモノクロームコラム

    編 集:池田 剛
    文 章:上田假奈代
    写 真:上田假奈代、三木真由美
    ジャバ:ドクタ丸尾

    (* No.) クリックで余計なお世話解説


    Copyright© 2001 event-eye.com.
    All Rights Reserved.




モノクロームダイフリン(2)
上田假奈代

●22:40 次の手を打ち上げ花火 待ちもせず


地下のバーから上がると、風はすっかり冷たくなっていた。
雑踏を歩く人の数がさっきよりも増えている。

ネオンを追って目をあげていくと大きな赤い観覧車(*1)がHEPビルの上に見える。

観覧車が梅田に出現してから、HEPの思惑通り何度も観覧車に乗っている。
付くで待ち合わせた折りや、食事や映画の前か帰りのちょっとした時間にちょうどいい。
10代の頃は、観覧車に乗りたくなかった。
あんなのっそりしたユルイ時間を精神が止まっていられなかった。
ゴンドラのなかで走りだしそうなマナー違反を犯しそうだったのだ。
どこか寂寥さえ漂うほどの諦念を感じていた。あの巨体に。

今では、正確に言うと、不倫をするようになってから観覧車に、男とだけじゃなく、女の子ともよく乗るようになった。
移動しているのに、元の場所に戻る。時間だけが経過している。
その空白感に身体をあずけ、くつろぐことができるのは、諦念を抱く人だけ。
観覧車は挫折したカップルほど相応しい、とは極論か。

けれど、今日見上げた観覧車は、深まる秋の夜空にせつない円周をまわっている赤い塔だ。

ゴンドラに乗った乗客たちは、
どこかに届くこともなく、
同じ円周を
同じ間隔で離れ
すれ違うことはけしてない。

乗り合わせたとしてもわたしたちは同じ人生を歩むわけでもない。
それぞれに帰る家があり、それぞれが眠る場所がある。
家族だとしても、それでも一生を寄り添わない。

だからこそ、一瞬のゴンドラのなかで深いまなざしで、窓の外を俯瞰して、お互いをみつめあう。

ナオミは今頃、マスターに優しい言葉をかけてもらっているだろうか。
アヤは、今夜見た映画の話を彼に電話で喋っているのだろうか。
カオルちゃんは。

まわる観覧車に背を向けると足早に仕事場に向かう。




完

上田假奈代

次回の、モノクローム・コラム。
12月1日公開。おたのしみに・・


event_login
event_login
あなたのイベント情報を
登録してください。

イベントの登録受付中!

イベントやセミナーを企画、開催する方へのインフォメーション

イベント・セミナーをプロデュースされている主催者の皆様、イベントカレンダー情報掲載サービスをご活用ください。イベントの集客アップのツールとして、きっとお役に立ちます。

Copyright© 2001 event-eye.com. All Rights Reserved. Please mail comments on this server to :