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No.4-3
上田假奈代 / Profile AB型 URL:www.kanayo-net.com
1969年奈良県吉野生まれ。闘う天才料理詩人・救わない巫女。
大阪市立文化事業実行委員会発行「カルチャーポケットC/P」に「生きる詩人になる方法」連載中。
3歳から詩人。2000年からトイレ連込朗読プロジェクトを実施。
知る人ぞ知る上田假奈代が語りかける。

井戸掘りといふお仕事

再会はあまりに突然......
浅黒く焼けて、ひとまわり大きくなったように見える......

笑わない肖像写真......
アフガンでそれが気軽に言えるようになる日はいつやって来るのだろう......

いっそう激しく降る雨
彼女は、雨の向こうのカフェを振り返り、そう言った......

涸れる井戸を掘る仕事......
2000年夏、彼は300万円を渡されて「井戸を掘ってこい」と言われる......

井戸を掘りボクシングする男......
たった1人からはじめて、今では600人を背負っている......

アップリケと鬼
けれど今、彼がいる現場は、手抜き作業をすれば命にかかわるような場所なのだ......

アフガンにいる理由
宗教戦争からはじまったアフガンを見てダイレクトに人の、生きたり死んだりを感じた......

天狗なら、またあえるはず
じゃあ、わたしが杉の木にいた天狗だったことも時効よね......
お仕事訪問先

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イベント・アイ特集連載コラム
Monochrome Column
上田假奈代なモノクローム


編集:池田 剛
文章:上田假奈代
意匠:ビット田村
仕掛:ドクタ丸尾



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井戸掘りといふお仕事
井戸掘りといふお仕事
上田假奈代

いっそう激しく降る雨

奇跡的な再会も、次の打ち合せがあるので、30分ほどで切り上げなくてはならない。
「明々後日には行っちゃうんでしょ、もう会えないの?
あなた、わたしに連絡ちゃんとくれるの?こっちから、連絡できないでしょ」と畳みかけて拗ねると、彼は首を横に振る。「ちょっと買い物をするくらいしか用事はないから。それに、ほらね」とジーンズのポケットからケータイを取り出した。
「プリペイドなんだけど、使い方がよくわかんないんだよね」と悪戦苦闘しながら番号をメモしてくれた。
けれど、あと2日は土日にもかかわらず、わたしのスケジュールは打ち合せと取材で、ほぼ満杯だった。

「そろそろ、行かなくちゃ」
何度も肩を叩きあって、わたしは赤いセータの彼女と連れ立って、店を出る。
「なんか、蓮岡君すごいパワーみなぎってたね、この辺にいない感じ」彼女は、雨の向こうのカフェを振り返り、そう言った。

次の打ち合せを天王寺で済ませ、東京へ電話をかけた。
「頼みたいことがあるんやけど」と話をきくと、アフガンの子どもたちへの教育支援事業サイトの文章のリライト発注。
今日はやけに、アフガンづいてるな。
「で、締切りは?」
「早いとこ。」

それから、お風呂に入っていると、また男友達から電話がかかってきて、彼とすすめているライブイベントの打ち合せが始まった。あーしよう、こうしようと、一通り話がまとまり、長風呂ついでに「実はね、今日、神様はいるんやなって思ったのよ」とアフガンで井戸掘りする友達に偶然会った話をはじめた。

「ほんとに、気の優しい男の子なんよ。自分探しはもう終わっているんよ。
でも、日本じゃないところへ行くしかないんやなあ。
童話作家になりたいってような人は放浪して、その安住できないところで何かを作っていくのかな。
なんでアフガンに行くんやろなあ。アフガン」蓮岡と同じ年頃の彼に尋ねてみた。

「何かがアフガンにしか、ないんやろうな。死ぬかもしれんような場所でしか経験できないものが彼には必要なんやろうな。そうか。俺、もう寝ようかと思ってたけど、がんばって仕事しよっかな」と、サウンドクリエーターの彼はそう言って電話を切った。

そうなのだ、彼に今日会った赤いセーターの女友達も電話で喋った彼も、わたし自身も、
蓮岡の何も語らないけれどその存在に、熱く励まされてしまったのだ。

そして翌朝、またしても電話で起こされた。
沖縄からツアー中の唄うたいからで、今夜のライブと打ち上げを招待するから絶対来てくれ、とライブを仕切っている人からのものだった。そのお誘いは既に5回くらいかかってきていて、もう断れない。ともかくライブは遅れても行くから、打ち上げはごめん、と返事をして、蓮岡のくれたメモをとりだして、電話をした。

「取材をお願いしたいの。あなたの仕事について話してほしいのよ。
この企画が通るかどうか、わかんないけど編集長にはなんとか頼むから。
時間は明日の朝、2時間しかないんだけど、それでもいい?10時に、昨日会ったカフェで。」


※ アフガニスタンの写真はペシャワール会よりご提供いただきました。


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