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No.4-6
上田假奈代 / Profile AB型 URL:www.kanayo-net.com
1969年奈良県吉野生まれ。闘う天才料理詩人・救わない巫女。
大阪市立文化事業実行委員会発行「カルチャーポケットC/P」に「生きる詩人になる方法」連載中。
3歳から詩人。2000年からトイレ連込朗読プロジェクトを実施。
知る人ぞ知る上田假奈代が語りかける。

井戸掘りといふお仕事

再会はあまりに突然......
浅黒く焼けて、ひとまわり大きくなったように見える......

笑わない肖像写真......
アフガンでそれが気軽に言えるようになる日はいつやって来るのだろう......

いっそう激しく降る雨
彼女は、雨の向こうのカフェを振り返り、そう言った......

涸れる井戸を掘る仕事......
2000年夏、彼は300万円を渡されて「井戸を掘ってこい」と言われる......

井戸を掘りボクシングする男......
たった1人からはじめて、今では600人を背負っている......

アップリケと鬼
けれど今、彼がいる現場は、手抜き作業をすれば命にかかわるような場所なのだ......

アフガンにいる理由
宗教戦争からはじまったアフガンを見てダイレクトに人の、生きたり死んだりを感じた......

天狗なら、またあえるはず
じゃあ、わたしが杉の木にいた天狗だったことも時効よね......

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イベント・アイ特集連載コラム
Monochrome Column
上田假奈代なモノクローム


編集:池田 剛
文章:上田假奈代
意匠:ビット田村
仕掛:ドクタ丸尾



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井戸掘りといふお仕事
井戸掘りといふお仕事
上田假奈代

アップリケと鬼

蓮岡が「現地では『鬼』と呼ばれてるんですよ」ととても信じられないでしょ、という顔で言う。

「だって、ほら、ほんとは、ハムスターとかアップリケみたいな僕じゃないですか」
へ?アップリケって、お洋服についてる布のことだよね。
噴き出しそうになるが、こらえて、続きを促す。
「僕は、アフガンで、けして仲良く仕事してるわけじゃないんです。
毎朝、日の出とともに起きて、連中集めて『おめぇらー、それでいいのか。井戸掘りってのはなー』って、朝礼してるんですよ。飯場みたいな所なんですから。」

大学生の時に合気道をしていたらしいが、とくに格闘技な男には見えなかった。
わたしが知っている現場での彼は声を張り上げることはなかったし
ハムスターとは言わないが、ひとりで没頭して作業を楽しんでいるようにみえた。

けれど今、彼がいる現場は、手抜き作業をすれば命にかかわるような場所なのだ。
「今まで事故がないことが自慢な現場なんです。殉死者は2名いるんですけどね」と彼は言った。

今はアフガンで写真を撮ってないのか、と尋ねた。
彼はこちらをまっすぐに見て「今は写真は撮れない。
責任者になってしまったら、現地の人々を微妙な心理的なやりとりがあって。
それにタリバンでは、写真禁止だったから。

僕の写真はポートレートじゃないんです。
もっと、近い視点。
だから人と人との関係性の狭間で僕は写真撮れない。
わかりますか、わからないですよね。」

この時はじめて、彼の悶とした声を聞いた。
わたしは黙って彼を見ていた。
「今まで僕はハイエナだったんです。
いちばん見たい部分が見たくて、それを切り取ろうとして、ずるがしこい目が必要で
そういうところが写真だと思ってた。
だから、今は。」
少し、間があいて
「そういう視線を持ってはいけないですね。」


※ アフガニスタンの写真はペシャワール会よりご提供いただきました。


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