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上田假奈代 / Profile AB型 URL:www.kanayo-net.com
1969年12月1日奈良県吉野生まれ。闘う天才料理詩人・救わない巫女。ドコモ関西メールマガジン「Wow DoCoMo Now!」も執筆中!
詩作歴は3歳。・知る人が知る上田假奈代が語りかけるモノクロームコラム

    編 集:池田 剛
    文 章:上田假奈代
    写 真:上田假奈代、三木真由美
    演 出:ビット田村
    ジャバ:ドクター丸尾

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モノクローム・オキナワ(2)
上田假奈代



●ファのないサンシン。なんでもかんでもチャンプル。

那覇空港ゲートには、ブーゲンビリアが咲きみだれ、もあっとする熱のある空気に、冬を忘れた。 荷物を持ってロビーへ出ると、既に木下さんが待ってくれている。 これからお世話になる方に、ご挨拶をしようとするわたしに「ごはんにしましょうね」。 もう遠慮はいらないよ、そんな風に聞こえる。車は椰子の街路樹の道を進む。

那覇の街中に入り込み、小さな坂を下った駐車場はアスファルトもない。 沖縄の県庁所在地のはずなのに、都会なのかどうか、わからない。 迷路のような市場のような商店街を歩いて、牧志公設市場にたどりつく。 市場の楽しさは旅の醍醐味だと思う。珍しい食材やブタの耳やひづめ、顔までぶらさがっている。

鮮やかな魚はグルクン。眺めながら2階の食堂へ。 比較的賑やかな沖縄民謡が流れている。サンシンという三味線に似た楽器。 ファがないんだよと教えられる。 ソーキーソバゴーヤチャンプルを食べる。 チャンプルというのは、ごちゃまぜの意。 オキナワは、まさにそんな場所だと思う。 中国、台湾、アメリカ、日本、いろんなものを包んでいる。飲み込まなくては暮らせなかったのか、それとも、てーげー(あいまい、というニュアンスかな)に、しなきゃ、やってられない太陽のせいか。

チャンプルを体言するかのような牧志公設市場の2階が、以降のわたしのオキナワ第1 食目と決まっている。 今でこそ、ずいぶん観光客に知られた2階大食堂だが、当時は地元の人が多く、お漬け物を持参するオバアもいた。オキナワ弁が外国語のように聞こえる。

2月とはいえ、分厚い空気がしみこんでいる。 隣の席のオバアの会話がわからない。 オキナワの人同士が喋るオキナワ弁は、外国語の唄のよう。 この流れるようなオキナワの言葉は、空気に溶けるのかもしれない。 地域ごとに方言があり、一地区を離れると、もう違うというのだから、もしかしたら共通語があったのだろうか。方言について強い関心をしめすわたしに、木下さんの奥さんである久美さんが話してくれた。 彼女たちの子供時代には、教育機関から「方言札」なるものが配付され、オキナワ弁を喋った子供は「わたしは今日方言でしゃべってしまいました」と首にかけて廊下で立たされたというのである。 オキナワ本土復帰の前年に生まれたわたしは「それは悲しい話ですね」と答えることが精一杯。 母国語と国境と国家の、ありようというものについて、考えたことなぞ、いままでなかったから。



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