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No.1-5
上田假奈代 / Profile AB型 URL:www.kanayo-net.com
1969年奈良県吉野生まれ。闘う天才料理詩人・救わない巫女。
大阪市立文化事業実行委員会発行「カルチャーポケットC/P」に「生きる詩人になる方法」連載中。
3歳から詩人。2000年からトイレ連込朗読プロジェクトを実施。
知る人ぞ知る上田假奈代が語りかける。

銭湯の番台といふお仕事

- 前半 -
喜びのダンスしながら......
男湯も同じ造りと......
「ああ幸せ」と呟かれる場所......
あまり似てない姉妹だけれど

- 後半 -
大きなお風呂愛好家が......
お客さんに「ご馳走さん」と......
銭湯史における世相の......
人が集う銭湯の番台を......

お仕事訪問先


- Back Number -
イベント・アイ特集連載コラム
Monochrome Column
上田假奈代なモノクローム


編集:池田 剛
文章:上田假奈代
意匠:ビット田村
仕掛:ドクタ丸尾



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銭湯の番台といふお仕事
銭湯の番台といふお仕事
上田假奈代

大きなお風呂愛好家が銭湯に通う仕事をみつける

引越してから2か月後に、ハローワークでみつけてきたと言って、彼女は銭湯の番台のアルバイト始めた。
既に続けているライブラリースタッフのアルバイトでは生活できない筈だったので、アルバイトがみつかったことを喜んだ。番台の彼女の姿を想像するだけで、楽しい。その仕事は似合うだろうと思った。 それから週に5日、彼女は煙突に向かってチャリをこいで、番台に立つ。


「番台アルバイトを始めて、もう1年になるかなあ」
自室のちゃぶ台に向かいあって、取材がスタートした。

履歴書の動機の欄には、温泉や大浴場が好きだから、と書いて提出し、オーナーと面接し即決で決まったという。

仕事は、番台での入浴券のやりとりが主である。
入浴料金は360円で、洗髪料がプラス10円。常連さんの中には、髪が薄くても律儀に10円払う人もいれば、絶対に払わない男性も多いそうだ。はじめてのお客さんには「洗髪しますか」と尋ねることになっている。


仕事はひとりに任されているので、何かあった時には困る。
非常事態には、2階に住むオーナーに内線をかけて指示を仰ぐことになるが、留守の時は判断に悩む。
銭湯という場所がら倒れる人もいて、年に一度は救急車を呼ぶようなこともあるらしい。

シフトの時間が重なっている30分は、お風呂の掃除をする。
待合いや脱衣所、浴場を素早く整える。もちろん男湯にも入っていく。

1日の入浴客は、150人くらい。
そのうちの大半は常連客である。
いつのまにか顔なじみになった常連さんは何かと親切だ。
お寺の帰りだからと、お下がりをくれるおばちゃんがいる。
普段は挨拶しかしないおじさんが、紀州の梅干をくれたこともある。
中には「これ好きかなと思って」と鉢植えのベゴニアをくれた男性客もいる。
「それって、求愛されてるんやないの?」と聞くと「え、う、まあ」と言葉を濁す。

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