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No.6-11
上田假奈代 / Profile AB型 URL:www.kanayo-net.com
1969年奈良県吉野生まれ。闘う天才料理詩人・救わない巫女。
大阪市立文化事業実行委員会発行「カルチャーポケットC/P」に「生きる詩人になる方法」連載中。
3歳から詩人。2000年からトイレ連込朗読プロジェクトを実施。
知る人ぞ知る上田假奈代が語りかける。

長距離トラッカーといふお仕事

- 前半 -
プロローグ●ドラマチック高速
ヤンキー車と詩
渋滞嫌いのトラッカー
肉類を積む
妄想トラッカー
ワッパまわし
岡山水急
『勧進帳』

- 後半 -
3人の女
鍵待ち
トラック朗読
最後の荷下ろし
帰途
到着
眠りに落ちる
エピローグ●数日後

お仕事訪問先

- Back Number -
イベント・アイ特集連載コラム
Monochrome Column
上田假奈代なモノクローム


編集:池田 剛
文章:上田假奈代
意匠:ビット田村
仕掛:ドクタ丸尾



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長距離トラッカーといふお仕事
長距離トラッカーといふお仕事
上田假奈代

●04:02●広島/宮島●トラック朗読

たりは、うっすら透明な青に照らしだされている。

トラックは、コンビニ「ポプラ」に停車し、
朝ご飯を物色する。

くじら肉コロ弁当に目がくらみ、朝からこれを食べることにする。

トラックに戻り、向かいにある倉庫で停車。
ここまでの走行距離は405H。
しんさんは、さっそく朝ご飯を食べている。

明るくなってきたので、鞄から詩集をとりだし、
わたしは「しんさんに聞かせてあげたい詩があるから、トラック朗読するね」と
辻 征夫「桃の節供に次女に訓辞」(*1)を朗読する。
彼は「いいですねえ」と、しきりにうなづいている。

彼は「みんな、何か書き込んでるかな」と、ケータイをとりだし
「詩の学校の黒板BBS」にアクセスし、
「お、のりちゃんが新作発表してる、なかなかいい詩ですよ」と
のりちゃんの新作「誰かとあなたの誕生日を足して2で割った日」を朗読してくれる。

それから外に出た。

倉庫の裏には、日の出すぎたばかりの瀬戸内海が広がっていた。

トラックに戻り「ねえねえ、海がきれいよ」と窓を叩き、
ふたりでテトラポットの濡れている引き潮の海を見ていた。

絵のように、山の稜線がたちあがっていく朝の
波にちいさな舟が滑っていく。

週に3日、この風景を眺めて、いつもひとりで何を思っているのだろう。


*1
辻 征夫「桃の節供に次女に訓辞」
現代詩文庫155 続 思潮社 詩集「かぜのひきかた」より

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